2011年9月24日土曜日

ぼくらの文楽「山崎 裕 我が殺戮の日々~ムシ達が教えてくれたもの」 講義メモ

ぼくらの文楽で聞いてきた講義は3つ、初日の「高田彩×笹尾千草 ココラボとビルド~東北からアートを仕掛けて行くギャラリスト2人の語り~」、2日目の「飯田仁一郎×船山裕紀 DIYフェスのつくりかた」と「山崎裕 我が殺戮の日々〜ムシ達が教えてくれたもの」です。このうちメモを取ったのは2日目の2講義(初日のココラボとビルドはメモるの忘れた)。前回はDIYフェスのつくりかた の講義メモでしたが、今回は「山崎裕 我が殺戮の日々〜ムシ達が教えてくれたもの」の講義メモを掲載します。

この講義がほんとおもしろくて、1時間ちょっとの講義でしたがほんとあっという間でした。


※写真は全然関係有りませんが絵本画家 荒井良二 さんの気球。詳しくはこちら

講師:
山崎 裕 やまざきゆたか
青森県十和田市出身
植物生理形態学、遺伝子学などが専門
東北芸術工科大学非常勤講師など

講義自体は講義中に渡された山崎先生のレポートのコピーが主体。レポートのテーマは「『野生空間』のアプローチから」。
出典は 東北芸術工科大学 こども芸術教育研究センター活動報告 Vol.2 2008


・虫についての講義を依頼されたが、自分の専門は植物。でも小さい時に虫は大好きで、今日の講義の大半のことは小さい時に自分が体験したことがベースになっている。
・本で得た虫の知識よりも、実際に虫に接して得た知識や経験のほうが今でも覚えている。
・子どもの頃はたくさん虫を殺した。子どもは所有欲が大きいから、 トンボを捕まえては虫かごに次から次へといれる。入りきらなくなったら羽根をむしって逃げないようにしてそこらへんにおいておく。もちろん翌朝には死んでる。
・トンボは筋力が強い。羽根をちぎろうとして引っこ抜くかたちになってしまい、羽根の根元の筋肉が根こそぎ抜ける時がある。水色でとろーっとしたそれを見たときは罪悪感がわいた。
・標本作りにはまった。蝶は捕まえたら胸のところを摘んで圧迫して仮死状態(というか死ぬ)にしてから三角紙にいれて傷つかないように持って帰る。
・タテハチョウが好きで、その中でもキベリタテハとルリタテハの標本を作りたかった。
・キベリタテハは山の奥のほうに生息しているということで、親に頼み込んで八甲田山に連れて行ってもらった。そしてキベリタテハを見つけた。夢中で追いかけて捕まえた。
・念願のキベリタテハを捕まえて、いざ標本にするべく殺そうと思った。が、なかなか殺せなかった。
・蝶の抵抗が強いせいもあったが(タテハチョウは他の蝶に比べて筋力があるのか抵抗が強い)、それよりも虫に感情移入してしまい、以前のように簡単に虫を殺せなかった。このときはじめて虫を殺す、ということに罪悪感を感じるようになった。
・しかし、標本にすることに憧れていた蝶であったし、思い切って殺した。そのキベリタテハの標本が最後の標本になった。
・命は言葉じゃなくて体験からその価値がわかる。だからといって虫を「殺せ」というわけではない。
・自分の体験は積み重なり、自分の価値観になる。
・社会の価値観を教科書で得た子どもは、その子にとって社会がどうでもよくなればその価値観は崩壊してしまう。学校で「殺してはいけない」と教えられたけど、その子が学校でいじめられたりしていたら、その価値観は意味があるかどうか。
・でも、自分の体験から得た自分の価値観はそうそう揺るがない。
・そして、その自分の価値観は子供の頃に育つ。

草薮と子どもたち
・大学の附属幼稚園みたいなところで、大学生と子どもたちを共同で学ぶ授業を持ったので、学校裏の空き地に草薮を作り、子どもたちにそこで遊ばせる授業を行った。草薮にはたくさんの虫が集まり、子どもたちはそれを捕まえて観察するようになった。
・ちょうちょを網で捕まえると暴れるけれど、網の中に花をいれるとそれにとまっておとなしくなることを子どもたちが自然と発見した。
・バッタを捕まえた子どもが、つい強く掴んでしまいバッタの体液が出てしまった(死んでしまった)。なにかとんでもないことをしてしまったと戸惑った子どもは「バッタがおしっこを漏らした!」と言ってバッタを放り投げた。それを見ていた友だちが「おしっこを漏らしてダメな子だ!」とそのバッタを踏みつぶしてしまった。ふたりとも生死についてはよくわからないものの、嫌な感じ・罪悪感が生じたようで、なんとか自分を正当化しようとおしっこ漏らしの現行犯としてやっつける結果になった様子。
・カメムシがクサイ、と認識している子どもは多いが、どうクサイのかはよくわかっていない。多分親がカメムシはクサイと言っているのを聞いて覚えているようだ。

・あとは草薮のスライド、質疑応答。

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最初の部分はかなり堅めに書いてますけど、実際は数々の虫を殺しまくってきた話をおもしろおかしく喋ってて笑えました。
最初に話した命の話はほんとにいい話で、すべての親に聞いて欲しいしすべての子どもに体験して欲しいことだなぁと思った(もちろんムリヤリではなくね)。でも福島の原発事故があった以上、同じようなことをすることはムリになったっていうのは子どもたちの教育にものすごく大きな影響を及ぼしているのだなぁと思った。

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